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名義を勝手に使われた場合は支払義務はない

無断で名義を使われる場合
クレジット契約は単独の契約ではなく、三つの契約から成り立っています。①信販会社と販売店の間の加盟店契約、②販売店と消費者との間の売買契約、③信販会社と消費者との間の立替払契約の三つの契約です。この三つの契約のうち、信販会社と消費者との間で行われる立替払契約は、信販会社が直接立ち会うわけではなく、加盟店である販売店が代理人または使者として締結されます。信販会社は電話による確認をするだけで、販売店に代金を支払う仕組みとなっており、詳しい調査などは行いません。

そこで、販売店がこの仕組みを悪用して、販売実績を上げるために消費者の名義を使って、実際には売買を行っていないにもかかわらず、行ったように架空のクレジット申込書を作成して、信販会社から支払いを受けることがあります。このような場合に、名義を使われる消費者の側でそのことを知っている場合、言い換えれば名義を使われることを承認している場合が「名義貸」と呼ばれるもので、知らない場合のことを「名義冒用」といいます。「名義冒用」の場合には、消費者が責任を負うことはありませんが、「名義貸」の場合には、裁判所の判例も消費者に一定の責任を負わせるケースが多いようです。

名義貸・名義冒用による集団クレジット被害
販売店による名義冒用などのケースは、その販売店が倒産した場合に発覚することが多いのですが、これまでにも販売店の倒産によって大規模な集団クレジット事件に発展したケースが数多くあります。このような名義貸や名義冒用による集団クレジット被害に関連して、通産省(現経済産業省)は昭和五八年に通達を出し、信販会社は販売会社と加盟店契約を締結する際の調査を厳格に行うことや、消費者の契約意思の確認を厳格に行うことなどを指導していますが、現在でも相変わらずクレジット被害事件は発生を続けています。

力-ドを勝手に作られた場合の対処法
全く知らない間にクレジット会社から請求が来た場合には、あなた自身は信販会社との立替払契約を締結してはいないのですから、そんな請求に応じる必要はありません。内容証明郵便で自分には支払い義務はない旨の通知を出しておけばよいでしょう。ほとんどの場合はこれで請求は止まります。まずは消費生活センターなどに相談することです。

内容証明郵便を出したにもかかわらず請求が続く場合
このような場合には弁護士に相談のうえ、最終的には、信販会社を被告として「債務不存在確認訴訟」という訴えを提起する方法もあります。

クレジットカード利用ではここを注意する

カード管理に常に気を配る
①カード会員規約の確認 消費者(利用者)がカード会社に対してカード発行を申し込み、カード会社がこれを承認することにより、消費者はこのカード会社の会員となります。そしてカード会社と会員との関係を拘束するのが会員規約です。会員規約にはさまざまな禁止事項や、訴訟になった場合に管轄する裁判所などの重要な事柄が定められていますので、必ず目を通しておかなければなりません。

②手数料の確認 カードで商品を購入したり、サービスを受ける場合には手数料がかかります。手数料とは、現金一括払価格とカードで買った場合の価格との差額で、実質的には金利に相当します。しかし、これは加入商店側か負担することが多いようです。

③支払日、遅延損害金の確認 支払日に支払わなかった場合には遅延損害金を取られます。遅延損害金は、当該遅延額×任意の損害金率と残金×六%のいずれか低い方の額となります。割賦販売法の適用のない取引は、当該遅延額の一四・六%の賠償額です(消費者契約法)。④カードの管理 カードの紛失・盗難によって他人に不正に使用された場合にも、カードの保有者が支払責任を負うことが会員規約には定められています。カードの管理には十分な注意が必要です。ただし、自動的保険制度があります(詳しくは、あなたが所持するカード会員規約あるいはカード発行会社で確認してください)。

⑤伝票や請求書の確認 カードを利用したときは、必ず伝票の金額に間違いがないかを確認すること。そして伝票を保存しておき、後日カード会社から請求書が届いたら必ず伝票と照らし合わせて間違いがないかを確認する必要があります。

⑥余分なカードは作らない カードを何枚も保有していると、管理も大変になります。また保険料や年会費も余計にかかります。カードの枚数は最低限にすることも大切なことです。

カード会員規約の内容を把握しておく
カード会員規約は細かい文字で書かれ、内容も一般には理解しにくいものもあります。会員規約によれば、カードの所有権はカード会社にあり、会員はカードを借りているだけということになります。会員以外の者は、カードを使用することはできず、カードを他人に貸したり、譲り渡したり、借金の担保としたりすることは禁止されます。

クレジットカードの利用と注意点

節度あるクレジットカードの利用
便利だからといってむやみに利用するのではなく、クレジットカードを利用することは、借金をすることと同じなのだという明確な認識をもって利用する必要があります。借金であるかぎりは、必ず返さなければならないし、当然利息も支払わなければならないのです。何か商品を買いたいと思っても、その商品が今の自分にとって、借金をしてでも必要なものなのかどうか、また、その金額を返済することができるのかどうか、よく考えてから利用しなければなりません。

カード社会といわれるアメリカでは、カード無しに生活することは不便なほどカードが一般化しています。しかし、現在の日本では、力ードがないからといって不便を感じることはそれはどないでしょう。それどころか盗難や紛失しないようにする管理も大変です。今一度、本当にカードを持つ必要があるのか、また、多くのカードが必要なのか、考え直してみるのもよいでしょう。

割賦販売法とクレジット契約の問題点
割賦販売法では、販売業者が倒産したり、商品に欠陥があるなどの債務不履行があったときは、その事実をクレジット会社に主張して、支払いを拒むことができます(抗弁の接続)。改正前の割賦販売法では指定商品とされていた特定の物品および学習塾、エステティックサロン、外国語会話教室、家庭教師派遣業の四種が指定役務とされ、業者が倒産したり、債務不履行があったり、また消費者が中途解約をした場合には、クレジット会社に対して支払い停止を主張できることになりました(支払い停止の抗弁)。また、内職・モニター商法に係る物品の販売等のトラブルでも抗弁が認められていました。

平成二〇年の割賦販売法の改正
クレジット(包括信用購入あっせん・個別信用購入あっせん)利用の販売業者等との間で商品の引渡しがない等、購入者に責任がないトラブルが発生した場合、クレジット業者に支払を拒絶できるとされました。改正前の指定商品・指定役務制は撤発され不動産販売を除く全商品・役務が対象となりました。

なお、平成二〇年の割賦販売法の改正ではこのほかにも改正が行なわれました。改正内容は、
①割賦販売法の適用範囲の拡大、
②民事ルールの強化、
③クレジット審査に新しいルールの導入(収入規制)
などです。

割賦販売法の改正と内容2

包括信用購人あっせんの場合の支払可能見込額
「包括信用購入あっせん」とは、信用購入あっせんのうち、クレジットカードを用いるものを言います。

この場合の利用可能枠は、以下の算式で計算します。
利用可能枠=支払可能見込額×〇・九
※支払可能見込額(年間)=(①年収等-②生活維持費-③クレジット債務)
①年収等、②生活維持費、③クレジット債務についての解説は、前記個別クレジットの解説を参照してください。なお、指定信用情報機関には株式会社シー・アイ・シー(CIC)が単独指定されています。

クレジットカードの利用の流れと調査
クレジットカード利用における支払可能見込額の調査は、以下のときに行われます。
①クレジットカードを新たに申し込むとき
②クレジットカードを更新するとき
③クレジットカードの利用枠を増やすとき
この場合、利用可能枠を超えるクレジットカードの発行、更新はできません。また、利用可能枠を超えるクレジットカードの利用はできません。

その他の改正
(1)クーリング・オフ……訪問販売等の契約では特定商取引法により書面交義務とクーリング・オフが規定されていますが、個別クレジット契約においても書面交付義務とクーリング・オフが規定されました。
(2)過量販売の場合の解除……訪問販売による契約が過量販売(通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等)に該当すれば契約解除ができ、個別クレジット契約も一緒に解除できます。クレジット会社は、既払金を消費者に返還する義務があります。
(3)販売契約の取消し、返還義務……訪問販売等の業者が不実の告知(嘘の説明)をして、消費者が誤認して契約したときは、販売契約の取消しとともに個別クレジット契約も取り消すことができます。クレジット会社は既払金の返還義務を負います。

割賦販売法の改正と内容1

割賦販売法はクレジット(信用取引=ローン<後払い〉)を利用した販売に適用される法律で、主に販売業者を規制する法律です。この割賦販売法が、クレジット取引の適正化を目的として平成二〇年六月に改正され、平成二一年一二月一日に第一段階の施行、平成二二年一二月一七日に第二段階が施行されました。

平成二二年一二月一日(第一段階)の施行の主な改正内容
①ボーナス一括払いなど「二カ月」を超える支払も「信用購入あっせん」として割賦販売法の適用を受ける(翌月一回払いは適用外)
②訪問販売等で、個別クレジット契約をするにあたっては、クレジット会社が加盟店の勧誘行為を確認する
③訪問販売等で、個別クレジット契約の取消しなどが一定の条件に該当すればできる
④クレジット番号等の不正利用などが罰則の対象になった
⑤法律の遵守と業界の自主的な取り組みが推進されることになり、認定割賦販売協会として、「社団法人日本クレジット協会」が設立・認定された

平成二二年一二月一七日(第二段階)の施行の主な改正内容
クレジット会社は、過剰なクレジットの利用による消費者被害の防止をするために、法律に基づく指定情報機関の情報等を活用し、利用者等の「支払可能見込額」を調査することが義務付けられ、この額以上の取引は、原則として禁止されました。以下の項では、クレジットの利用者に影響があると思われる改正内容について説明します。

支払可能見込額の調査と貸付の禁止
過剰なクレジットによる消費者被害を防止するための改正です。具体的には、クレジット会社が従来から行っている審査において、支払可能見込額をを算定して、この見込額を超えるクレジットの利用は原則禁止するというものです。

個別クレジッ卜の場合の支払可能見込額
「個別クレジット」とは、信用購入あっせんのうち、クレジットカードを利用せずに、販売店など商品等の購入時に、その都度クレジットの申込みをして契約をするものを言います。支払可能見込額は、以下の計算で算出します。支払可能見込額(年間)=①年収等-②生活維持費-③クレジット債務
①「年収等」について
(1)1万円単位でクレジット利用者が自己申告をすることになりますが、年収証明書等の証明書類を提出する必要はありません。
(2)年収三〇〇万円以下の主婦(夫)の場合は、配偶者の年収等を合算できます。夫婦共稼ぎの場合は、配偶者の同意のもとで、夫婦の年収等を合算することができます。ただし、クレジット債務も合算することになります。
(3)倒年金が主な収入の人や学生については、二親等以内の親族と生計を一緒にしている場合には、その親族の同意のもとで年収等を合算することができます。ただし、この場合には、その親族のクレジット債務も合算されます。
②「生活維持費」について
生活維持費とは、最低限の生活を維持するために必要な1年分の経費です。公的な資料に基づいて計算されますので、居住地、世帯の人数、住宅所有の有無などにより異なります。東京二三区についての生活維持費は上表のとおりです。
③「クレジット債務」について
これは、クレジット会社に返済する1年間の支払予定額です。クレジット債務は、クレジット会社が指定情報機関(経済産業大臣が指定)を利用して行います。

年収の三分の一以上は借金ができなくなった

改正貸金業法では、総量記載が導入されました。したがって、多くの多重債務者は借金ができなくなります。早急に借金の健全化(債務整理)が必要となります。

1.借金整理のよい機会だと考えよう
貸金に関しての総量規制の内容は、貸金業者に借手の返済能力の調査等を義務付けるというもので、調査の結果、総借入残高が年収の三分の一を超える貸付など、返済能力を超えた貸付は原則として禁止されました。ただし、三分の一を超える部分の借金をすぐに返さなくてはならないというものではありません。

したがって、現在、消費者金融などの貸金業者からの借入がとれだけあるかを把握し、年収の三分の一以上か以下かを、まず、検討してください。そして、年収の三分の一以上の人は、原則として返済能力を超えているとされ新たな借入をすることができなくなりますので、借金整理および家計における支出の見直しなどが必要となります。

また、総借入残高が年収の三分の一に達していなくても、借入残高が徐々に膨らんでいる人も借金整理が必要です。こうした人も、いずれは、総借入残高が年収の三分の一を超えることになるからです。なお、指定情報機関が設置されおり、借手の総借入残高が把握されます。

2.借金整理では利息制限法に引き直して残債務を減額する
特定調停などによる借金整理では、通常、元金・利息・返済額の資料を用意して、借入金利(改正法前の金利は利息制限法よりも高い)ではなく、利息制限法による上限金利で計算のやり直しを行います。そして、利息制限法の上限金利を超える返済は元金の返済に充当されたとするのです。こうすることで、通常、残っている借金が大幅に減額されます。これは、貸金業法が改正される前と同様です。

こうした、利息制限法による借金残高の見直しについては、旧貸金業法四三条の「みなし弁済」により、任意に支払ったのだから有効、との規定があったからです。しかし、「みなし弁済規定」が適用されるためには、業者が前記の要件をクリアしなければならず、最高裁判所は適用要件を厳格に判断し、なかなか認めませんでした。さらに、貸金業法の改正では、批判の多かったこの「みなし弁済規定」そのものが廃止されました。

3.計算し直した結果、過払いなら返還請求ができる
前記の方法で計算した結果、すでに借金全額の返済が完了しており、余りが出る場合には過払分として貸金業者への返還請求が可能となります。請求してもなかなか返還してくれない場合には、過払分の返還訴訟によることになります。訴訟となれば、本人では難しいと思われますので、弁護士に相談したほうかよいでしょう。

借金整理の具体的な方法としては、①任意整理(業者との話合い)、②特定調停(簡易裁判所に申し立てる)、③民事再生、④自己破産、があります。なお、貸金業法等の改正では、政府は関係省庁の連携強化により、多重債務問題の解決のための施策を総合的かつ効果的に推進するとしています。これを受けて、多重債務対策の円滑かつ効果的な推進を図るために、内閣に多重債務者対策本部が設置され、同有識者会議が設置されています。

検討課題は、①カウンセリング体制の充実、セーフティネットの充実、③金融経済教育の強化、④ヤミ金融の徹底した取締りを含む執行体制の強化、などです。多重債務者向けの相談窓口の設置や低利融資制度などの効果的な政策を期待したいものです。なお、借金整理については、直接お金を借りた債務者だけでなく、保証人となって支払った人についても同様のことがいえます。

業務規制の強化、法令違反の刑罰が加重された(罰則強化)

参貸金業者の業務の適正化および法令違反の刑事罰について、以下のような改正が行われました。

①超高金利(年一〇九・五%超)の貸付や無登録営業などを行う、いわゆるヤミ金融に対して、無登録営業等の刑罰を懲役五年から一〇年に引き上げ

②貸金業者の行為(いずれも問題になっていたこと)で、新たな規制の対象とされたもの
・夜間に加え日中の執拗な取立行為などの規制強化
・貸付に当たり、トータルで元利負担額などを説明した書面の事前交付の義務付け
・倒貸金業者が借手等の自殺により保険金が支払われる保険契約を締結することの禁止
・公正証書作成にかかる委任状の取得の禁止、利息制限法の金利を超える貸付の契約について公正証書の作成の嘱託の禁止
・連帯保証人に対して、催告・検索の抗弁権がないことの説明の義務付け

③その他の改正
・貸金業への参入条件の厳格化
これは貸金業へ参入する場合に、純資産が五〇〇〇万円以上であることを求めるものです。
・個貸金業務取扱主任者制度の導入
これは貸金業務取扱主任者という資格試験を導入し、合格者を営業所ごとに配置して、法令遵守のための助言・指導を行うというものです。
・貸金業協会の自主規制の機能の強化
これは貸金業協会を認可を受けて設立する法人(現在は貸金業者の集まりである社団法人)とし、都道府県ごとに支部設置を義務付けるというものです。また、広告や過剰貸付等の防止について自主ルールを制定させ、これを金融庁が認可するという方法がとられます。
・業務改善命令の導入
現行の登録の取消しや業務停止の他に、新たに業務改善命令が導入されました。

貸出しの要件が厳格になった(総量規制の導入)

貸金業法等の改正では、過剰貸付の抑制のための新たな規定が設けられ、総量規制が導入されました。その内容は、以下のとおりです。

①貸金業者に借手の返済能力の調査を義務づける(個人が借手の場合には、指定信用情報機関〈後述〉の信用情報の使用の義務付け)

②自社からの借入残高が五〇万円超となる貸付け、または総借入残高一〇〇万円超となる貸付けの場合には、年収等の資料の取得を義務づける

③調査の結果、総借入残高が年収の三分の一を超えるなど、返済能力を超えた貸付の禁止(内閣府令で、不動産の建設・購入資金、売却予定の不動産の売却代金により貸付弁済される貸付など売却可能な資産がある場合などは除くかれる)

④消費者金融なとからの借入れを把握するための指定信用情報機関制度を創設し、貸金業者が借手の総借入残高を把握できるようにする

このうち③の規制は、消費者金融の利用者にとっては特に重要です。いままでのように、恒常的に消費者金融からの借入ができなくなるのです。例えば、年収三〇〇万円の人は、その三分の一である一〇〇万円、年収六〇〇万円の人は二〇〇万円が借入限度額(総借入残高)となります。ただし、すでに年収の三分の一を超える借金残高があるからといって、その超過部分の返済をすぐに求められることはありません。また、適用の対象となるのは、貸金業者からの借入れ(クレジットカードのキャッシング含む)だけです。

この他、住宅ローンや自動車ローンは、原則として貸金業法の総量規制の対象ではありません。この総量規制導入に伴い、借入れる際に年収を証する書類(源泉徴収票・確定申告書・納税証明書など)の提出が必要となります。ただし、①五〇万円以下の借入れ、②他の貸金業者から借入れている場合は合わせて一〇〇万円以下の借入れ、については年収証明書は不要で、自己申告による年収確認となります。また、指定信用情報機関の創設(株)日本信用情報機構(JICO)、㈱シー・アイ・シー(CIC))で、審査も厳格になっています。これには、クレジットカードなどによるキャッシング(キャッシングを行うクレジット会社は貸金業者でもある)も含まれますので注意してください。

いずれにしても、過剰貸付の抑制は、現在、一〇〇万人ともいわれる破産予備軍(借主)は、否が応でも借金を整理しなければならないでしょう。借金整理のいい機会だと考えてください。なお、借金整理については、「みなし弁済」改正法で廃止の適用を排除した最高裁判所の判例がありますので、今までに返済した額を利息制限法で引き直した額で、どれだけの借金があるかをまず計算してください。引直しについては、計算ソフトがありますので、弁護士に相談してください。そして、特定調停や自己破産などの法的手続きを検討しください。

貸金業法等が大幅に改正された

新貸金業法は、平成一八年一二月一三日に国会で成立し、同一二月二〇日に公布されました。改正内容は、ほぼ貸金業法の全体に及び、その中で消費者(借主=債務者)にとって重要なものは、貸し出し金利の引き下げ(「みなし弁済規定」の廃止)と過剰貸付の抑制に伴う返済能力を超えた貸出しの禁止です。

貸企業の金利が引き下げられる(上限金利の引下げ等)改正前の貸金業者の貸金の金利の上限は年二九・二%(これを超えると刑罰の対象となる。日賦貸金業者・電話担保金融は五四・七五%)でした。これ以上の金利の契約をすると出資法の金利規制に違反し刑事罰が適用されました。刑罰金利は、利息制限法の所定の上限金利(年一五%~二〇%)よりも高く、消費者金融などの貸金業者は年利二〇~二九%の金利が一般的となっており、これは、貸金業法二四条の「みなし弁済」規定で利息制限法所定の金利を超えても、出資法所定の年二九・二%までの利息は有効とされてぃたからです。

ただし、「みなし弁済」の適用を受けるには、任意の弁済で一定の書面要件(契約書や領収書の発行など)があり、「みなし弁済規定」の適用をめぐって多くの訴訟が提起されました。これを受けて、最高裁判所では「みなし弁済規定」の適用がない旨の判決が相次いで出されました。ほとんどの貸金業者は、厳密に解釈すると「みなし弁済」の要件を満たしていなかった(現実問題としてできない)のです。

また、多重債務者を生む温床であるとして、「みなし弁済規定」に関する批判も弁護士会等で出されました。こうしたことから、改正貸金業法では、「みなし弁済規定」を廃止して刑罰金利を年二九・二%から年二〇%にが引き下げ、併せて前記、日賦貸金業者、電話担保金融の特例も廃止されました。刑罰金利の引き下げは、平成二二年六月一八日に施行されています。

借金の実態はどうなっているか

新貸金業法の施行により、貸金業者の貸付けに関して総量規制が導入されました(平成二二年六月一八日施行)。その内容は、原則、年収に三分の一以上に総貸付残額がなった場合には、それ以上の貸付けは禁止するというものです。こうしたことから、今後、借入ができなくなる人が多数出ることが危惧されています。この改正については、次項以下で解説しますが、ここでは、まず、借金の実情を見ていくことにします。

まず、借金の実態を把握しよう。多重債務の実態を把握したデータは、現在のところありませんが、家計の借金については、いくつかのデータがあります。

①金融広報中央委員会(家計の金融行動に関する調査・平成二二年調査)この統計によれば、金融資産の平均保有額は一二八九万円、中央値は五〇〇万円となっていおり、借入金の平均は四九五万円、借入金の世帯のみで見ると二二三万円(住宅ローン含む)となっています。単純に資産から借金を引くと資産は六七四万円となっています。なお、この調査によれば、貯蓄のない世帯が二二・三%にも上っています。

②日本クレジット協会(消費者信用統計)平成一六年の消費者金融の貸付残高は合計で七五兆九八五〇億円(前年比〇・九%増)に達しています。このうち消費者金融等からの借入を見ると消費者金融会社等からの借入が八兆二六三五億円(前年比一〇・九%減)、クレジットカードのキャッシングが六兆九五二一億円(前年比七・九%減)となっています。

こうした統計からは多重債務の実態は十分には把握できませんが、総論的に言えば、収入は減り、貯蓄が伸びず、生活を切りつめて生活しているというのが全体の傾向のようです。消費がここのところ余り落ち込んでいないことを考えると、その分を生活費を削って補っているというのが実情のようです。多重債務となっている個人にとっては、こうした借金の分析は無用のことと思われるかもしれませんが、あえてこうしたデータをとりあげたのは、社会の実情に照らして、そう借金生活は長くは続けられないということを言いたかったのです。現に後述するように、貸金業等の改正により、総量規制が導入され、貸金業者からの借金は原則として年収の三分の一までとされました。多重債務者は否が応でも、借金の整理が必要となったのです。

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