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自殺で保険金が出る生命保険契約は禁止された(取立規制)

最近の報道で貸金業者からの借主が生命保険に加入させられていたことが問題となりました。また、消費者金融の債務者が知らないうちに生命保険に加入させられ、借主の自殺などによる保険の支払われるなどで、貸金業者により不当に消費者団体信用保険、消費者団信が利用されているのではないかとの記事も掲載されました。これを受けて、金融庁が21団体17貸金業者に調査した結果、無担保無保証貸付の口座数延べ1,408万件に対して、生命保険加入の被保険者数は延べは1,344万人にも達していました。また、被保険者、債務者の自殺を原因とする受取件数は総受取件数の9.4%、死因等判明件数の19.8%、内、判明しないものが52.5%となっていたのです。

消費者団体信用保険は、元々債務者が死亡したときに保険金から支払いを行い債務を消滅させて、遺族の生計の安定を図ることを趣旨としたものです。住宅ローンなど返済が長期に及ぶものならいざ知らず、こうした短期の借入に生命保険をかけることは、貸付債権の回収のために保険が不当に利用されているとの批判がありました。また、自殺を助長する結果ともなりかねなかったのです。こうしたことから、金融庁は事務ガイドライン、第三分冊:金融会社関係の一部改正を行いました。

具体的には「威迫」(貸金業規制法二十一条一項)に該当する恐れの大きい行為の例示として「保険金による債務の弁済をを強要又は示唆するような言動を行うこと」が追加されました。この金融庁の「事務ガイドライン」の改正等を受けて、貸金業法等の改正では、債務者、借手の自殺により保険が支払われる保険契約を締結することは禁止されました。この結果、債務者が自殺しても保険金による借金の消滅はなく、相続人がその借金は相続することになります。ただし、相続では借金を相続しない方法として相続放棄や相続財産の破産などの手続きがありますので、遺族はこれを検討することになります。

なお、改正法の施行、あるいはそれ以前に伴い、貸金業者の廃業等が多く出ました。通常、廃業では貸付債権は譲渡されることになり、法律が定める一定の手続きを経て譲渡された場合には、債務者の弁済義務がなくなるわけではありません。だだし、譲渡先の取立て等に問題があれば、やはり貸金業法等の規定により対処することになります。なお、貸金業者が廃業した場合、廃業前にした契約による取引が結了するまでは、なお貸金業者とみなされ、帳簿の作成保存義務があります。自殺を原因として保険金が支払われる生命保険への加入禁止などの取立規制の強化に関する改正は、平成19年12月19日に施行されています。